どうなる朝鮮半島情勢

・生活習慣病について
 これまで何度も噂が流れた金正日の重病説だが、今回ばかりはどうやら本当らしい。韓国政府は、症状は軽いとか、快復に向かっているとか、しきりにディスインフォメーションを流しているが、そんな話を鵜呑みにはできない。今頃、全身カテーテルだらけでベッドに横たわっているのではないだろうか。

 それにしても生活習慣病はやはり恐ろしい。多くの日本人にとっても他人事ではないだろう。特に吾輩のように中年以上の人間にとっては。ジョンイルを反面教師におのれの生活習慣を見直す機会にしたい。

 ところで北朝鮮では毎年食糧不足が話題になるくらいだから、生活習慣病に罹患している人間は少ないのではないかと思う。ということは、脳卒中や心臓病になる人間も少ないのではないだろうか。おそらくそれ以前に餓死してしまうのだろう。だから、北朝鮮には脳卒中や心臓病の執刀経験が豊富な医師が少ないと思われる。だからといって中国やヨーロッパから医師を呼びつけても、発作が始まってからではいくら名医であってもどうなるものでもないだろう。

・半島情勢について
 さて、半島情勢はどうなるか。たとえ将軍様の病状が快復したとしても、権力者としてとどまるのは難しいのではないだろうか。ストレスは血管に負担をかけるので、ジョンイルの体ではとてももたないだろう。ジョンイルの運命は次の権力者の考え次第ということになる。

 まず内戦の可能性であるが、これはない、と吾輩は思う(もっとも、アメリカがこの機会に民主化しようとか統一しようなどと変な考えをおこさなければ、という限りで)。というのも、朝鮮民族は怒らせるとマジギレする相手(例えば中国みたいな)には無抵抗で従う習性があるので、北朝鮮の住民が勝ち目もないのに政府を相手に民衆蜂起を起こそうなどとは考えないはずである。よって、社会にある程度の混乱は起こるにしても反乱などは起こらない。それなりに秩序を維持するであろう。それゆえ北朝鮮の政権幹部たちはある意味で安心して権力闘争が行えるし、その範囲はあくまで現政権内部にとどまるのである。要するに李朝末期の政権ドタバタ劇を繰り返す可能性が高い。

 その過程で、社会や政府の一時的な混乱をうまく処理した者が宰相的な立場につくと思われる。金王朝が存続するかしないかは、そのときの利用価値によって決まる。ジョンイルがいたほうが社会秩序が安定するなら存続。反対にジョンイルを悪者に仕立て上げたほうが社会がまとまりそうなら、金王朝は廃止される。もちろん古代日本の三輪王朝−応神王朝−継体王朝のように、支配者自らが金王朝を簒奪して統治するパターンもあり得るが。

 また、軍部による集団指導体制になる可能性については、一時的にはありえても、恒久的にはありえないと思う。というのも、朝鮮半島にそのような政治文化は存在しないからである。例えば日本の場合は、ながらく複数の軍閥(武家)による合議体制が続いた。鎌倉時代は有力御家人たち、室町時代は有力守護、江戸時代は親藩、譜代による合議体制であった(日本の首相がコロコロが変わるのは、合議体制による“首班持ち回り政治文化”の遺産であると思う)。

 しかし朝鮮半島は日本と正反対なのである。常に王や宰相を中心とした一元的政治世界が形成された。宰相や高官の地位には不思議な求心力があり、両班をはじめ半島の住民はみんなそれに強烈な憧れを抱いた。朝鮮の政治には集団指導体制は馴染まないし、おそらくそれでは求心力を保てないであろう。
 よって、金王家は象徴的な存在になるか、廃止されて新たな王朝が誕生することになる。金王家が存続する場合は、王権を掣肘しやすいように金正日には生かさず殺さずの処置が施されるだろうし、世襲王には無能な者が選ばれるだろう。

 権力闘争がどれくらいの期間続くかわからないが、数年以上続くのではないだろうか。半島の歴史を振り返れば、馬賊から成り上がった金日成による政権は異質であり、吾輩は、これに変わって北朝鮮に李朝的なという意味で伝統的な政府が誕生すると思う。そういう観点から考えると、軍部が最終的に権力を握ることはないと思う。政権交代の影響が半島以外の地域に波及することはなく、従って半島統一の機会も来ないまま北朝鮮は中国とロシアの植民地(二重植民地とでもいうか、資源は中国に、労働力はロシアに搾取される)になっていく、・・・というのが今の吾輩の見立てである。

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